公演を行うにあたって避けて通れないのが、「どうやってお客さんを集めるか」という問題。
どんなに素晴らしい作品でも、その存在を知ってもらわなくては観に来てもらえません。
お客さんに公演情報を届けるための情報発信の手段がいくつかありますが、今回は混同されやすい「広告」と「PR」の違いについてお話ししたいと思います。
「広告」と「PR」は違う
広告とPRの一番大きな違いは、情報をメディアに載せてもらうにあたりお金を払うかどうか、という点になります。
広告とは
広告は、メディアの広告枠を購入し情報を掲載します。
新聞や雑誌、WEB上のメディアなどです。
また駅構内の広告や電車の中の広告、郵便局内に広告スペースで舞台公演の情報が掲載されているのを見たことがあります。
YouTubeの広告、twitterで「プロモーション」と表記されているツイートも広告です。
お金さえ払えば、掲載したい情報を、掲載したい場所に掲載したい期間に掲示することができます。
PRとは
一方PRは、新聞や雑誌、WEB上のメディアに「記事」として載ることです。
新聞の場合、新聞社の記者が来て、取材をし、記事を書き、それが新聞に掲載されます。
お金は掛かりません。
ただし、こちらが掲載して欲しい情報を載せてもらえるとは限りません。
記者が「これは広く世に知らせなくては!」と感じ、読者の役に立つと判断した情報が載ります。
お金を掛けずに、メディアに載ることができますが、取り上げてもらえるかどうかはメディア側の判断に委ねられています。
そもそもPRってなに?
PRとは、パブリックリレーションズ(Public Relations)の略です。
ではパブリックリレーションズとは何なのか、日本パブリックリレーションズ協会の説明を引用します。
パブリックリレーションズ(Public Relations)は20世紀初頭からアメリカで発展した、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)との望ましい関係をつくり出すための考え方および行動のあり方である。
日本パブリックリレーションズ協会「パブリックリレーションズとは」より http://prsj.or.jp/shiraberu/aboutpr
実は情報発信の手段ではなく、「組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)との望ましい関係」を作ること、私のPRの師匠である笹木郁乃さん(株式会社LITA)は「双方向のコミュニケーション」とおっしゃってます。
PRって集客できるの?
広告にしてもPRにしても、「集客できるのかどうか」が一番気になるところだと思います。
広告としてメディアに載った場合も、PRで記事としてメディアに載った場合も「認知」を広げることはできますね。あとは、それによってどれだけの人が「その公演を見に行きたい」と思うかです。その公演の企画自体、広告の内容自体、記事の内容自体に左右されるものだと思います。
ですが、この二つには大きな違いがあります。
広告欄はあくまでも「広告」です。YouTubeで流れる広告を「有益な情報だ」と思って見る人はいないですよね。
新聞の記事に載ると「◯◯新聞で紹介されているからきっと有益な情報だろう・素晴らしい公演なんだろう」と信頼できる情報として受け取ってもらえます。
広告欄だとスルーされてしまう公演情報でも、記事になったらお芝居に興味のない方でも目に留めて読んでいただけそうですよね。
ただし、一回メディアに載るだけで、一気に有名になる、一気にお客さんが増えるということはほとんどありません。公演ごとにこつこつPRを重ね、メディアへの掲載実績を重ねていくことで、集客にもつながると思います。
最後に
最後に、広告とPRのちがいをまとめると、
広告=お金がかかる・信頼がない
PR=お金がかからない・信頼がある
となります。
一般的な企業、ビジネスの世界ではPR活動は当たり前に行なっていますが、演劇業界、特に小劇場ではほとんど行われていません。
「舞台の価値」は人によって違います、それを言葉にするのは難しい作業です。
「一言で説明できないから、こんなに時間を掛けて準備をして、お芝居で表現してるんだ」
プレスリリースを作成していて、私も何度もこう思いました。
矛盾が生じているようにも感じます、でも見に来てもらうまで、足を運んでもらうまでは、お客さんにもメディアの方にも「言葉」で作品の魅力や、劇団のやりたいことを伝えなくてはいけないのです。
言葉を尽くして伝えないと、見に来てもらえないのです。
多くの人に価値を伝えられるPRに私は魅力を感じています。特にお金がない・できる人がいないという理由で今までPRをやってこなかった小劇場界において、PRの可能性を感じています。
お気軽にご連絡ください、無料相談もやっています。
参考文献
私がPRを学んでいるPR塾(株式会社LITAが運営)の代表笹木郁乃さんが出された本です。具体例を交えてわかりやすく書いてあります。おすすめです。